新書と選書、2025年2月刊行分からメモ。

ゆたかさをどう測るか
  • 『ゆたかさをどう測るか: ウェルビーイングの経済学』
  • 山田 鋭夫
  • 筑摩書房
  • 2025年02月07日頃
  • ISBN: 9784480076700
  • ちくま新書 1842

経済のための人間から、人間のための経済へ 「ゆたかさ」とは何だろう。国が経済成長を遂げ、モノが溢れかえる一方、人々のつながりは希薄化し、自然環境は破壊され、現代社会はますます息苦しくなっている。GDPという指標の下で富の増大を目指し、社会を測ろうとする経済学は、私たちの「ゆたかな生(ウェルビーイング)」を捉えることができているだろうか。経済成長至上主義を問いなおし、経済のための人間から人間のため …

日本の国民皆保険
  • 『日本の国民皆保険』
  • 島崎 謙治
  • 筑摩書房
  • 2025年02月07日頃
  • ISBN: 9784480076724
  • ちくま新書 1844

歴史に学び、医療の未来を切り開く 生産年齢人口の減少、2040年問題、物価・賃金の上昇、医師の偏在ーー 医療保険の一世紀を精細に分析する決定版通史 わが国は一九六一年に国民皆保険を実現し、高度経済成長が終わる七三年まで給付の拡充を図った。しかし、社会経済が右肩下がりになれば、国民皆保険が形骸化するおそれがある。この危機を乗り越える鍵は歴史の中にある。社会保険方式、被用者保険と国民健康保険の二本 …

貧困とは何か
  • 『貧困とは何か: 「健康で文化的な最低限度の生活」という難問』
  • 志賀 信夫
  • 筑摩書房
  • 2025年02月07日頃
  • ISBN: 9784480076694
  • ちくま新書 1843

◎生きてさえいければ貧困じゃない? ◎社会には救うべき人と救わなくてもいい人がいる? ◎貧困から抜け出せないのは努力が足りないから? 「貧困」の定義は時代によって違う! 議論はなぜかみ合わないのか? 貧困とは「お金がないこと」だと思っている人は多い。では生きていくための最低限のお金さえあれば貧困ではないのか? 貧困の定義は実は時代ごとに課題にぶつかり、形を変えてきた。貧困層を劣った人間と見なす …

近世日本の支配思想(982)
  • 『近世日本の支配思想(982): 兵学と朱子学・蘭学・国学』
  • 前田 勉
  • 平凡社
  • 2025年02月07日頃
  • ISBN: 9784582769821
  • 平凡社ライブラリー

近世の日本では、古学をはじめとした儒学のほか、蘭学や国学などのさまざまな学問が生まれ、多くの個性豊かな思想家たちが誕生してきた。朱子学を支配的な思想とするかつての「常識」を否定し、「武威の国」日本の支配思想を兵学であるととらえ、その対立軸としての朱子学との関係を基本としながら、経済の発展とともに登場する蘭学・国学との関わりを説く。著者の近世日本思想史研究を決定づける一冊。 【目次】 序章 近世日 …

飛脚は何を運んだのか
  • 『飛脚は何を運んだのか: 江戸街道輸送網』
  • 巻島 隆
  • 筑摩書房
  • 2025年02月07日頃
  • ISBN: 9784480076687
  • ちくま新書 1841

手紙、荷物ばかりでない。情報発信、金融や損害保険のパイオニアの全貌。 江戸を駆ける! 《盛んな出版文化も「脚」で下支え》 例えば、ベストセラー作家の曲亭(滝沢)馬琴は、誰と、どんなやり取りをしていたか。手紙だけでない飛脚が運ぶ物産、飛脚問屋の金融的な機能や全国津々浦々の情報流通に果たした役割とは。自然災害や事故、強盗等の被害にどう備えていたか。近代郵便制度の導入以前でも、全国につながる街道、江戸 …

アセクシュアル アロマンティック入門 性的惹かれや恋愛感情を持たない人たち
  • 『アセクシュアル アロマンティック入門 性的惹かれや恋愛感情を持たない人たち』
  • 松浦 優
  • 集英社
  • 2025年02月17日頃
  • ISBN: 9784087213522
  • 集英社新書

LGBTに関する議論から取りこぼされてきたものがある。 それが「アセクシュアル」「アロマンティック」などのセクシュアリティだ。 アセクシュアルとは「他者に性的に惹かれない」という指向で、アロマンティックとは「他者に恋愛的に惹かれない」指向をいう。 私たちは「誰しも他者を恋愛的な意味で『好き』になったり、性的な関係を持ちたいと思ったりするはずだ」という前提で日々を過ごしがちだが、そういった思い込みは …

働くことの小さな革命 ルポ 日本の「社会的連帯経済」
  • 『働くことの小さな革命 ルポ 日本の「社会的連帯経済」』
  • 工藤 律子
  • 集英社
  • 2025年02月17日頃
  • ISBN: 9784087213492
  • 集英社新書

資本主義に代わる次世代の経済として、EUを中心に今、世界で推進される「社会的連帯経済」。 みんなが経営者となって働く労働者協同組合、NPOや社会的企業、地域通貨など利益追求を目的としない組織が連携し、新しい経済圏を形作る経済を指す。 そこにあるのは「競争ではなく自分らしく」「会社ではなくコミュニティのために」という働き方だ。 世界の格差・貧困問題を取材し続けてきたジャーナリストが日本各地での取り組 …

ひのえうま
  • 『ひのえうま: 江戸から令和の迷信と日本社会』
  • 吉川徹
  • 光文社
  • 2025年02月19日頃
  • ISBN: 9784334105532
  • 光文社新書

1966(昭和41)年、日本の出生数が統計史上最低を記録した。原因となったのは迷信。60年に1度めぐってくる干支、丙午(ひのえうま)にまつわる俗言のためだった。高度経済成長の只中、2つのベビーブームの間にあって、たった1年、なぜ迷信がそこまでの出生減をもたらしたのか? そしてさまざまな「都市伝説」がささやかれてきたひのえうまの人生とは、実際にはどのようなものだったのか? 自身、昭和のひのえうま生ま …

地方で拓く女性のキャリア
  • 『地方で拓く女性のキャリア: 中小企業のリーダーに学ぶ』
  • 野村浩子
  • 光文社
  • 2025年02月19日頃
  • ISBN: 9784334105525
  • 光文社新書

日本企業で女性総合職の本格採用が始まってから二十年あまりが経ち、地方の先進企業でステップアップするロールモデルがようやく誕生し始めた。地方で注目される女性は起業家や跡取り社長などが多く、地方女性の大半を占める「地元中小企業で働く女性」のロールモデルにはなりにくい。本書に収めたのは、地方でキャリアを拓いた女性たち、そして彼女たちを支える社長らから、筆者が直接集めた生の声。丁寧に分析したデータも多数収 …

意識はどこからやってくるのか
  • 『意識はどこからやってくるのか』
  • 信原 幸弘/渡辺 正峰
  • 早川書房
  • 2025年02月19日頃
  • ISBN: 9784153400405
  • ハヤカワ新書

物質の塊にすぎない脳に、なぜ意識が生じるのか? 「私」を機械に移す方法とは? データになっても「大往生」できるか? マインドアップローディングの実現を目指す脳科学者と「心の哲学」の第一人者が、意識という「究極の問い」に真正面から挑む対話録。

科学的思考入門
  • 『科学的思考入門』
  • 植原 亮
  • 講談社
  • 2025年02月20日頃
  • ISBN: 9784065387719
  • 講談社現代新書

「ふだん使いの科学」で、思考の土台を強くする! 自分の頭で考え、ファクトチェックするためにーー科学という営みの本質を楽しく学べる、最良の入門書。 有害な情報から身を守り、無意識のバイアスを避けるには? 情報過剰社会を生きる私たちに必須の「免疫」 ーー日常・仕事で威力を発揮する「科学的思考」 <本書の内容> 第1章 科学的思考をスケッチする 第2章 因果関係を考える 第3章 科学的思考を阻むも …

コミンテルン
  • 『コミンテルン: 国際共産主義運動とは何だったのか』
  • 佐々木太郎
  • 中央公論新社
  • 2025年02月21日頃
  • ISBN: 9784121028433
  • 中公新書 2843

ロシア革命後の1919年、コミンテルン(共産主義インターナショナル)は、各国共産主義政党の国際統一組織として、世界革命のために誕生した。 欧州、中東、アジアなど各国の政治に影響を及ぼすべく、様々な工作を行ったことで知られている。 本書は、謎の多い組織が、どのような活動をしたのか、レーニンやスターリンら指導者の動向や思想も踏まえ描く。 43年の解体にいたるまで、人々を扇動する一方、自らも歴史に翻弄さ …

世界の教育はどこへ向かうか
  • 『世界の教育はどこへ向かうか: 能力・探究・ウェルビーイング』
  • 白井俊
  • 中央公論新社
  • 2025年02月21日頃
  • ISBN: 9784121028440
  • 中公新書 2844

デジタル化やグローバル化などの社会変化を背景に、世界各国が教育改革を加速させている。本書は国連やOECD、ユネスコなどの国際機関、各国での議論を踏まえ、これからの教育を考察する。新たな時代に求められる能力や主体性、ウェルビーイングとは何か。各国が直面する教師不足や過重なカリキュラムへの対応策は。そして、日本に欠けている点とは。一人ひとりの子供が尊重された、あるべき教育、学校の未来を探る。

神道とは何か 増補版
  • 『神道とは何か 増補版: 神と仏の日本史』
  • 伊藤聡
  • 中央公論新社
  • 2025年02月21日頃
  • ISBN: 9784121028457
  • 中公新書 2845

日本〈固有〉の民族宗教といわれる神道はどのように生まれ、その思想はいかに形成されたか。 明治維新による神仏分離・廃仏毀釈以前、日本は千年以上にわたる神仏習合の時代だった。 両部・伊勢神道を生みだした中世を中心に、古代から近世にいたる過程を丹念にたどる。 近代における再編以前の神をめぐるさまざまな信仰と、仏教などとの交流から浮かび上がる新しい神道の姿。 補注と補論「神道と天皇」を収録した増補版。

ジャーナリズムの100語
  • 『ジャーナリズムの100語』
  • フランソワ・デュフール/村松 恭平
  • 白水社
  • 2025年02月25日頃
  • ISBN: 9784560510698
  • 文庫クセジュ 1069

ジャーナリストとはいかなる職業であるか?著者自らの経験をもとに、ジャーナリズムが遵守すべき規則を100のテーマで語る。

ビジネスと人権
  • 『ビジネスと人権: 人を大切にしない社会を変える』
  • 伊藤 和子
  • 岩波書店
  • 2025年02月25日頃
  • ISBN: 9784004320524
  • 岩波新書 新赤版 2052

人を人とも思わないやり方で搾取し蹂躙する社会が国内外の企業活動で生じている。企業は国際人権基準を尊重する責任を負い、国家には人権を保護する義務があり、人権侵害には救済が求められる。私たち一人一人が国連の「指導原則」が示す「ビジネスと人権」の発想を知り、企業風土や社会を変えるための一冊。  はじめに 第1章 なぜビジネスと人権なのか  1 人権とは何か  2 ビジネスと人権の諸問題  3 「ビジネ …

リンカン
  • 『リンカン: 「合衆国市民」の創造者』
  • 紀平 英作
  • 岩波書店
  • 2025年02月25日頃
  • ISBN: 9784004320548
  • 岩波新書 新赤版 2054

「奴隷解放の父」として、史上最も尊敬を集めてきた大統領であるエイブラハム・リンカン(一八〇九ー六五)。何百万もの黒人奴隷を国内に抱えるなかで迎えた南北戦争という分断の危機において、彼はいかにして「人民の共和国」という統合の理念を構想しえたのか。政治的リーダーシップの源泉を問う評伝。  はじめに  凡 例 序 章 時代と、運命を背負って 第一章 フロンティアに生きてーー一八〇九〜 …

謎ときエドガー・アラン・ポー
  • 『謎ときエドガー・アラン・ポー: 知られざる未解決殺人事件』
  • 竹内 康浩
  • 新潮社
  • 2025年02月19日頃
  • ISBN: 9784106039232
  • 新潮選書

2世紀もの間、誰も気づかなかった殺人事件が今、解決する! 米文学史に名を刻む天才作家にして「推理小説の始祖」ポーは、なぜある時から突然、推理小説を書くのをやめたのか? 世界最高峰のミステリ賞〈エドガー賞〉(評論・評伝部門)で日本人初の最終候補、『謎ときサリンジャー』で小林秀雄賞受賞の稀代の〈文学探偵〉による世紀の「発見」とは。作家解釈をも揺るがす震撼の論考。

誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治
  • 『誤解を招いたとしたら申し訳ない 政治の言葉/言葉の政治』
  • 藤川 直也
  • 講談社
  • 2025年02月14日頃
  • ISBN: 9784065386439
  • 講談社選書メチエ

そんな言い訳通用しません! 「そんなつもりはなかった」という言い逃れ、「心を痛められた方々がいらっしゃったのであれば、率直にお詫び申し上げます」という謝罪もどき、「広く募ってはいたが募集はしていない」のような言葉の意味を捻じ曲げる試み、「選挙が盗まれた!」「フェイクニュース!」という挙証なき放言、「うちでネットフリックスでも見ない?」などの言外の意味や隠語による駆け引き、「差別するつもりはないん …

清沢満之の宗教哲学
  • 『清沢満之の宗教哲学』
  • 山本 伸裕
  • 筑摩書房
  • 2025年02月14日頃
  • ISBN: 9784480018137
  • 筑摩選書 0297

厳密なテキスト読解によって定説を覆し、有機的な哲学体系を描き出す 著者渾身の書 === 明治期、真宗大谷派(東本願寺)の一僧侶としてその半生を生きた清沢満之。四十歳を待たずに病没したが、日本の哲学界に深い影響を与えた思想家でもある。しかしこれまで彼についてなされてきた理解は妥当なものであったのだろうかーー。本書は、生い立ちや時代的背景を踏まえ、「教」「行」「信」「証」という四つの観点から清沢の宗 …

国連入門
  • 『国連入門: 理念と現場からみる平和と安全』
  • 山本 栄二/中山 雅司
  • 筑摩書房
  • 2025年02月14日頃
  • ISBN: 9784480018168
  • 筑摩選書 0298

ウクライナ侵攻とガザ情勢の悪化以降、国連は機能不全に陥っている。国連は現在どうなっているのか。冷静沈着に国連の役割と限界を見据え、いま何ができるかを考えることが重要である。外交官として国連日本代表部に二度勤務した著者と、長年にわたり国連の理論的研究に携わってきた著者の二人が、現場での実務経験を縦糸に、研究者の体系的な理解と分析を横糸にして、国連の実像に迫る。初学者にも、学びなおす人にも、最先端の情 …

異教のローマ ミトラス教とその時代
  • 『異教のローマ ミトラス教とその時代』
  • 井上 文則
  • 講談社
  • 2025年02月14日頃
  • ISBN: 9784065380079
  • 講談社選書メチエ

世界がキリスト教化する前、ローマ帝国は伝統的なギリシア・ローマの神々に加え、オリエントの神々、さらにはキリスト教、ユダヤ教の一神教に至るまで多彩な信仰や宗教で賑わっていた。そのなかでひときわ勢力を誇ったのがミトラス教である。 キリスト教最大のライバルとまで言われながらも消滅したこの宗教の実態は、文献史料の乏しさゆえに今も謎に包まれている。最新の発掘成果や研究を踏まえつつ、その全体像に迫る。 なぜミ …