新刊文庫、2025年3月刊行分からメモ。
- 『事物の本性について: 宇宙論』
- 筑摩書房
- 2025年03月12日頃
- ISBN: 9784480513014
- ちくま学芸文庫 ルー10-1
人は事物の本性を知ることで迷信を逃れ、心の安定を得るべきである──。ローマ共和政末期の詩人・哲学者ルクレティウスの遺した唯一の著作である本書は、古代ギリシアの哲学者エピクロスの原子論的宇宙観を歌い上げた叙事詩である。万物を元素(アトム)の結合と運動から成るとし、気象などの自然現象から社会の進歩、さらには人間の感覚や恋愛に至るまでの森羅万象を説明しており、壮大なコスモロギアー(宇宙論)といえる。キケ …
- 『増補 古典としての旧約聖書』
- 筑摩書房
- 2025年03月12日頃
- ISBN: 9784480512949
- ちくま学芸文庫 ツー13-1
旧約聖書とはいかなる書物なのか。古代ユダヤの人びとはそこに何を読み込み、何を託してきたのか。本書は、半世紀にわたって旧約聖書と取り組み、古代オリエント学者としても豊かな学識をあわせもつ著者が、複雑で多層的な性格をもつ旧約聖書をさまざまな角度から読み解いていく珠玉の講演集である。文庫化にあたっては、定評ある旧版に、物語構造論の観点から聖書を分析する「旧約聖書における物語文学の構造と主題」など、5本の …
- 『弁論術』
- 光文社
- 2025年03月12日
- ISBN: 9784334105846
- 光文社古典新訳文庫
説得力のある言論の考察を通じ、説得の技術としての弁論術を論じた『弁論術』。修辞学やスピーチ術を学ぶ伝統のある欧米諸国では必読書とされている方法論だ。善や美、不正などの概念から説き、すぐれた洞察力で人間の感情と性格を分類して、比喩等の修辞など表現の技巧について考察を深める。感情論と性格論の論考は説得力抜群で、表現論はすぐにも使える実践的なものばかりだ。後世に多大な影響を与えた最強の説得術。
- 『新版 古代ギリシアの同性愛』
- 筑摩書房
- 2025年03月12日頃
- ISBN: 9784480512901
- ちくま学芸文庫 トー24-1
古代ギリシアの文化と社会を知るうえで、無視することのできない同性愛的傾向。それは、どのような形で表現され、受けとめられていたのか。本書は20世紀を代表する古典学の権威が、紀元前の8世紀から2世紀にわたる詩、壷絵、アリストファネスの喜劇、プラトンの対話篇、法廷弁論から落書にいたる膨大な史料を精査した、古代ギリシア研究史上の画期的名著である。同性愛的な行為と感情を克明に追い、性的関係のもつ複合的性格と …
- 『新編 人と人との間: 精神病理学的日本論』
- 筑摩書房
- 2025年03月12日頃
- ISBN: 9784480512932
- ちくま学芸文庫 キー14-6
精神病理を人間の在り方の一様相として論じてきた著者によるキー概念「間」(「あいだ」)。自己存在の根底にある超個人的な場所としての「人と人との間」は、現代思想に大きな影響を与えた。本書は、ドイツ留学時に思索した日本人論としてこの概念を世に問うた一冊である。日本人特有の精神病的生き方をさまざまな現象を通して思索するとともに、日本的精神症状とされる対人恐怖、貰子幻想の病理を解明。さらに「間」理論を和辻哲 …
- 『詩の構造についての覚え書: ぼくの《詩作品入門》』
- 筑摩書房
- 2025年03月12日頃
- ISBN: 9784480512925
- ちくま学芸文庫 イー64-1
詩を、作者の心情の直接的発露であり、それを伝える手段だとする見方は根強い。だが、詩において言葉は日常の用法とは異なる態度で取り扱われる。それゆえ、著者が「詩は表現ではない」と明言したとき、旧来の詩観は大きく揺さぶられることとなった。言葉を関係性によって捉えることが重視され、「作者─発話者─主人公」の区別に紙幅が費やされる。これらを通し、われわれは詩がどのようにして成り立つのか、その秘密に近づけるだ …
- 『フロイトとベルクソン』
- 講談社
- 2025年03月13日頃
- ISBN: 9784065387832
- 講談社学術文庫
ジークムント・フロイト(1856-1939年)とアンリ・ベルクソン(1859-1941年)。ウィーンとパリで同じ時代を生きた二人は、同じ知のネットワークに属していたばかりか、同じ対象に関心を抱き、独自の思索を展開した末、対極から同じ領域に迫ろうとした。しかし、彼らには直接の交流はおろか、著作での言及も皆無に等しい。この謎めいた事実は何を意味するのか──本書は、この問いに挑み、二人の知の巨人を隔てる …
- 『メルロ=ポンティの思想』
- 講談社
- 2025年03月13日頃
- ISBN: 9784065391396
- 講談社学術文庫
20世紀フランスにあらわれた綺羅星のごとき哲学者たちのなかにあって、ひときわ大きな輝きを放ちながら早世したモーリス・メルロ=ポンティ(1908-61年)。エドムント・フッサールの現象学と出会い、身体を中心に据えることで独自の地平を切り開いたその思想は、その後の現代思想の基盤となるとともに、哲学はもちろんのこと看護学や認知科学、芸術の領域にいたるまで今なお幅広く影響を与え続けている。 本書は、日本に …
- 『死と生の民俗』
- 講談社
- 2025年03月13日頃
- ISBN: 9784065391631
- 講談社学術文庫
ひと昔前の、普通に生きた人々の中にある、ごくありふれた日常。そこには「死と生」にまつわる、さまざまなエピソードが共存していたーー。近代化とともに「家」から死が遠ざかり、死への意識が希薄化した現代社会。明治から昭和初期の消えゆく風習を丹念に聞き取りながら、閉塞感ある今の社会の課題を解くヒントを掘り起こす。愚直で素朴で、とてつもなく豊穣な、隠れた民俗学の名著、復刊! 目次 はじめに 第一部 明治 …
- 『古典を生きる 吉川幸次郎対話集』
- KADOKAWA
- 2025年03月22日頃
- ISBN: 9784044008420
- 角川ソフィア文庫
論語、杜甫の詩、史記など、中国古典が千年の歳月を超えて読み継がれるのは、そこにいまも変わらない「人間の本質」が描かれているからだ。中国古典の魅力と奥深さを日本に紹介してきた中国文学の泰斗が、文学、民族学、物理学など様々な分野の識者と闊達に語り合った6編を収めた。中国という存在から、日本は何を学び、どう関わってきたのか。古典を読み、愛し、古典と共に生きた先哲たちの肉声がいま蘇る。解説・齋藤希史 中国 …
- 『舞台芸術入門 ギリシア悲劇、伝統芸能から現代劇まで』
- KADOKAWA
- 2025年03月22日頃
- ISBN: 9784044008512
- 角川ソフィア文庫
喜怒哀楽を操り、共同体を再生させ、時に神や亡霊をも呼び出す舞台芸術の魅力は如何に生み出されるのか。ギリシア悲劇を範とし、オペラやバレエへと拡散していく西洋演劇史を踏まえつつ、能、文楽、狂言、歌舞伎といった日本の伝統芸能や中国の京劇、バリ島の舞踏も取り上げ、その真髄を鮮やかに描き出す。自らも演出家として活躍した演劇研究の泰斗が、歴史・理論・実作を一本の線で結ぶ入門書の決定版。 解説・平田オリザ * …
- 『中動態の世界: 意志と責任の考古学』
- 新潮社
- 2025年03月28日
- ISBN: 9784101035420
- 新潮文庫
誰かを好きになる。これは能動か受動か。好きになろうとしたのでもなければ、好きになるよう強いられたのでもない。自分で「する」と人に「される」しか認めない言葉は、こんなありふれた日常事を説明することすらできない。その外部を探求すべく、著者は歴史からひっそりと姿を消した”中動態“に注目する。人間の不自由さを見つめ、本当の自由を求める哲学書。時代を画する責任論を新たに収録。